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2024-07-11

【5年生】臨海学舎 2日目

5年生2日目のレポートです。


 昨日は海での活動があったためか、朝までぐっすり眠っている様子。しかし、起床時刻に声をかけると、顔を洗ったり着替えたりと、てきぱき動く5年生です。何しろ、今日は無人島へ渡るのです。朝ごはんもおかわりする子が続出するほどでした。
 しっかり身支度をして、バスで鳥羽へ。鳥羽マリンターミナル港から答志島へ船で渡ります。鳥羽からは四つの離島へ渡ることができます。その一つ、答志島は最も広くて人口の多い島です。島の約8割が自然林で平地が少ないので、土地にはいっぱいいっぱい家屋が建てられています。そのため、狭い路地が多く見られます。ここでは漁業が盛んで、漁村ならではの風景も見られました。
 最初に予定していた港周辺では暑さが心配されましたので、場所を公民館に移し、お世話になる島の旅社スタッフさんとご挨拶をしました。
 初めにお話をしてくださったのは、現役の海女さんです。写真で見かける白い衣類は身体が冷えやすいので、素潜りをされるのに、ウェットスーツを着用されるそうです。身体を冷やさないための選択ですが、体が浮きやすくなるので、6キロもの重りのベルトもつけられます。実際に触らせていただくと、かなりの重さです。
 ここで行われている徒人(かちど)という、一人で潜る漁は舟人(ふなど)という二人で行う漁よりもより危険が伴いやすいので、お守りになるマークを道具に書き入れ、魔除けにされているそうです。海に潜って漁をされるときには、クロダイがついてくるそうです。おこぼれを狙っているのですね。ベテランの海女さんでも、酸素ボンベを使わない素潜りでは30秒から1分間程度の間に潜って探して、漁をする。大変な作業ですね。一日に1.5時間ほどの漁を2回されています。その間、何度も何度も潜られるわけです。獲りすぎないように、まだ小さな貝類は海に戻し、大きく育つのを待ちます。このようにして、未来へ大切な海を残していこうと努力されていますが、現実は厳しいそうです。年々海水温度が上がっていくことで、サザエやアワビ等の食べる海藻が枯れていく。この磯枯れにより、貝類は育ちにくく、獲れなくなってきています。貝類は数が少なくなるため、高騰に繋がるという負の連鎖が起きてしまっています。
 夕食後の出張環境講座では、志摩自然学校の先生が映像を交えて、海と人とのかかわりについて
お話をしてくださいました。
 人と自然の共生する伊勢志摩では、人のくらしの原点が残されています。しかし、海水温度の上昇により養殖されている真珠貝が育たず、的矢湾ではのりの養殖にも悪影響が出ています。海藻が枯れてしまい、砂漠のような海にプラスティックのごみがとても多い。このままではいけないと、会議が重ねて行われました。魚の獲り方を考え、生き物の育つ海に戻そう。海藻の種を増やして、干潟を守っていこう。このような考え方から、様々なプロジェクトが立ち上がっています。今回体験させていただいた無人島での干潟観察にもこの流れが根底にあるのでしょう。
 しおりに書かれている<自然水族館>と聞いて、どのような水族館だろう、海遊館のようなところかと想像された方がいらっしゃるかもしれませんね。答志島から和船で約5分、無人島へ渡りました。この島は浮島と呼ばれ、島全体が自然水族館なのです。潮の状態で磯観察ができるようになるので、大潮の日を選んで臨海学舎の日程を決めました。
 上陸すると、スタッフさんから一人ひとりにバケツとタモを渡され、自然観察の始まりです。
ちょうど潮のひいた良い状態でしたので、潮だまりにはカニやウニがとてもたくさんいました。
小さなカサゴをつかまえたりナマコを見つけたり。鳥羽市水産研究所からは、海藻の研究をされている博士が来てくださったので、生き物を見つけるたびに「博士、博士!」と声がかかっていました。
「まずは軍手をはめてタモですくって捕まえてみよう。捕まえたら、名前を教えますよ。」
その博士はタツノオトシゴを見つけられました!自然に学んだ後は感謝の気もちで、元に戻すルールです。生き物を探し求めてひっくり返した岩は元の位置に戻し、生き物は磯に返しました。
 塩分チャージのタブレットと冷たい麦茶で熱中症対策を行い、しっかり観察を楽しみました。
 お楽しみは他にもありました。シーグラスやその他のパーツを用意していただき、世界に一つだけのオリジナルアクセサリーを作ったのです。最後に島の旅社さんから缶バッジをプレゼントしていただきました。
 せっかくなので、船の出発時間まで答志島クイズをしましょう!クイズ大会も楽しみ、第一問に正解した子がお誕生日でしたので、どの缶バッジにしようか考える間に、みんなからお誕生日の歌をプレゼントし、温かな気もちになりました。
 今日の夕食には、空のお皿が一枚。食事が始まったら、焼きたてのヒオウギガイをのせていただきました。ホタテ貝と貝殻の形は似ていますが、オレンジや赤っぽい色のきれいな貝です。美味しくいただき、今夜も明日のプログラムのためにしっかり眠っています。
 今日は三重県松阪市で日本一の高温が記録されたそうですが、海辺での活動を満喫した5年生は、元気です。明日も天気になあれ。